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日別アーカイブ: 2025年10月20日

なかの設備のよもやま話~8~

皆さんこんにちは!
株式会社なかの設備、更新担当の中西です。

 

1️⃣ なぜ“方式選定”が重要か
給水方式は、末端の使い心地(圧力・流量)、衛生(滞留・水質)、運用コスト(電力・点検)、レジリエンス(断水・停電時)を左右する“根幹の設計判断”です。建物規模・地域の水圧・条例・用途を踏まえて、最適解を選びましょう💡。

 

2️⃣ 直結直圧方式—シンプル is ベスト
• 概要:配水本管の圧力をそのまま利用。受水槽なし。
• メリット:滞留が少なく衛生的、設備点数が少なく省スペース、初期コスト低め、管理が容易👍。
• デメリット:地域水圧に依存。上階で圧不足の可能性。朝夕ピークで圧変動😵。
• 適用:低〜中層、地域圧が安定、自治体の直結口径制限内。
• 設計の勘所:末端圧の目安(例:洗面・台所で0.1〜0.2MPa、シャワーで0.2〜0.3MPa程度を確保)。同時使用率を考慮し、管径を過不足なく。

 

3️⃣ 直結増圧(ブースタ)—必要な所だけ適切に上げる
• 概要:本管に直結し、増圧ポンプ+圧力タンク/インバータで必要圧を供給。
• メリット:受水槽不要で衛生的、上階でも安定圧。インバータ制御で省エネ。
• デメリット:機器費・電力費・メンテが発生。騒音・振動対策が必要🔊。
• 適用:中層〜準高層、地域圧がやや不足する地域。
• 設計の勘所:NPSH確保(吸込側圧力)、キャビテーション防止。吸込配管は太め短め、エルボ最小化。防振架台・フレキで振動を遮断。

 

4️⃣ 受水槽+揚水ポンプ—“蓄える”ことで安定を得る
• 概要:本管→受水槽→揚水ポンプ→(場合により)高置水槽→各階へ。
• メリット:断水時の緩衝、ピークカット、地域圧に左右されにくい。
• デメリット:水の滞留による衛生課題、槽の清掃・法定点検、スペース・初期コスト。
• 適用:大規模建物、配水圧が不安定なエリア、非常用水確保が重要な施設🏥。
• 衛生対策:吐水の定期更新(自動洗浄)、槽内の清掃計画、オーバーフロー・通気の防虫、防藻対策。温度上昇を避ける遮熱も🌡️。

 

5️⃣ 高置水槽(重力式) vs 加圧直送(インバータ)
• 高置水槽:停電でも一定時間給水可(重力)。ただし屋上スペースと耐震、凍結・日射対策が課題。
• 加圧直送:屋上スペース不要、圧力安定、保守容易。停電時は非常電源や受水槽併用を検討。

 

6️⃣ 末端圧・流量の考え方(簡易計算)📏
1. 必要末端圧の設定:器具仕様から最小必要圧を拾う。シャワーや温水洗浄便座は要求が高め🚿。
2. 圧力損失:摩擦損失(λ・管径・延長)+局部損失(エルボ・バルブ)。配管が長い・細い・曲がると落ちる。
3. 計算経路:最不利配管(最も遠く・高い器具)を選定し、本管圧−損失で末端圧を確認。
4. 同時使用率:集合住宅や商業施設では同時開栓が前提。ヘッダー方式は末端圧のばらつきを抑えるのに有効。
ワンポイント:計算上ギリギリは危険。季節変動・将来増設を見込み、10〜20%の余裕を設計に織り込むと運用が安定します💪。

 

7️⃣ ポンプ選定の実務—静かに、長く、賢く回す
• 全揚程(TH)=静水頭+摩擦損失+安全余裕。カタログの効率曲線で運転点を確認。
• インバータ制御:圧力一定制御で省エネ・水撃低減。夜間の最小流量でもハンチングしない設定に。
• 冗長化:交互運転(2台)+非常時は並列運転。予備機/予備モータの確保でダウンタイム最小化。
• NPSH:吸込側の圧力確保が生命線。サクションヘッダーのエルボは最小限、ストレーナの差圧監視を。
• 騒音・振動:防振架台・フレキ・遮音シート・基礎の質量UPで固体伝播を抑制🔇。

 

8️⃣ バルブ・減圧・逆流防止—“水の交通整理”
• 減圧弁(PRV):上流圧変動を吸収し、末端の過圧を防止。並列2台で保守性・変動吸収を両立。
• 逆流防止装置:二次側の水質を守る装置。検査・点検の計画を年次で。
• 緊急遮断:漏水検知と連動した電動バルブで夜間の被害拡大を防ぐ🌙。

 

9️⃣ 非常時・季節対応—止めない仕組み
• 停電:非常電源(発電機・UPS)でポンプと制御盤を確保。重力式とのハイブリッドも選択肢。
• 断水:受水槽の最低水位設定で緩衝。生活用水の分配計画(優先系統)を用意。
• 凍結:配管保温・防露・ヒータ、外気に晒されるバルブは化粧カバー+点検可動域を確保❄️。

 

🔟 施工・保守のポイント
• 据付:ポンプは水平出し・芯出し・グラウト充填。配管の自重を機器に載せない(支持金具を適切配置)。
• 試運転:エア抜き→リーク確認→設定圧の微調整→夜間・ピークのデータ採取📊。
• 保守:軸受・メカニカルシールの点検、ストレーナ清掃、逆止弁の作動確認。年間計画を作り、停電テストも実施。

 

1️⃣1️⃣ ケーススタディ 🧪
A:低層集合(4F)—直結直圧
地域圧0.35MPa、最上階シャワーで0.22MPa確保。同時使用率を見込み管径25→32にアップで圧安定。保守はメーター周り中心に。
B:中層オフィス(10F)—直結増圧
朝夕ピークの圧変動が大きいエリア。インバータブースタで圧一定0.3MPa運用。防振と防音ボックスで会議室騒音を回避。
C:病院—受水槽+高置水槽
断水リスクが許容できない。槽を衛生運用しつつ、重力式で停電時も最低限給水。温度上昇を抑える遮熱と定期洗浄を徹底。

 

1️⃣2️⃣ チェックリスト ✅
☐ 方式選定の根拠(地域圧、建物高さ、用途、条例)を記録
☐ 末端圧の基準を器具仕様から設定し、最不利配管で検証
☐ ポンプのNPSH・運転点・冗長化・騒音対策を設計
☐ 逆流防止・減圧弁・緊急遮断の位置と点検性を確保
☐ 非常電源・断水・凍結など季節/非常時の運用計画を用意

 

1️⃣3️⃣ まとめ ✨
給水方式は衛生・快適・省エネ・レジリエンスの分岐点。建物の“性格”を見極め、直結・増圧・受水槽を最適に組み合わせれば、ユーザー体験は劇的に向上します。次回は排水の核心、勾配・通気・トラップを徹底解説!🚽📏🌀 ## 第5回:排水方式—勾配・通気・トラップの三位一体 🚽📏🌀

 

 

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